Ⅰ. はじめに

本稿で与えられたテーマは、産学連携研究に関する知財紛争であるオプジーボ訴訟を契機として、あるべき産学連携研究及び同種の紛争の防止について考察することである。

本庶佑博士(「博士」)を中心とする研究チームは、後にノーベル医学・生理学賞を受賞する画期的な発明をし(各国で特許権を複数取得)、この発明をもとに、日本の医薬品メーカ(小野薬品工業株式会社〔「会社」〕。外国の医薬品メーカも開発に参加した)が、医薬品としての製品化に成功した。オプジーボ訴訟は、会社が、競合会社に対し、米国等で特許権侵害訴訟を提起した結果として得た和解金をめぐる紛争であった。