Ⅰ. はじめに1)

コンプライアンスの行き届いた企業経営を行うためには、個々の適用法令を遵守することが求められることは言うまでもない。自明のことながら、贈収賄を行わないこと、会計不正を行わないこと、品質・データ偽装を行わないことは、それぞれ刑法、金融商品取引法、不正競争防止法の遵守を意味する。

しかし、企業は、こうした個々の法令を遵守する取組みだけではなく、コンプライアンスに資する有用な制度・仕組みを定めた法令をも注視し、かつ、こうした制度・仕組みを適切に運用する必要がある。こうした制度・仕組みの代表例が、本稿において関係する法改正の経緯や内容に触れる①内部通報制度、②証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度(いわゆる「日本版司法取引」2))、③課徴金制度である。