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CASE

出版物などのコンテンツを扱うA社は、オンラインでのコンテンツの提供を行うために、質の高いユーザーインターフェース(UI)のシステムを作ることで定評のあるベンチャー企業B社に対して、コンテンツの提供アプリ(以下「本件アプリ」という)の開発を委託した。

A社とB社との間では、B社主導で条件が決められていき、B社が本件アプリの著作権の譲渡に応じなかったため、B社が本件アプリのプログラムの著作権を保有し、A社に対して本件アプリのユーザーへの配信に必要な範囲での利用を独占的に許諾するという内容の開発委託契約(以下「本件契約」という)が締結された。本件契約では、A社はB社に対し毎月一定の金額の使用料を支払う旨が規定されていた。

B社が開発した本件アプリは、独自の技術を用いたUIで、ユーザーの間で使いやすいと評判になり、本件アプリを用いたA社のコンテンツ提供サービスも順調にユーザー数を増やしていった。

他方で、大手出版社C社は、オンラインでコンテンツの提供を行っていたが、ユーザーからUIへの不満の声が多く、悩んでいた。そんな中、C社のところに、B社が人員・設備を拡大して挑んだ大型のシステム開発案件がとん挫し、資金繰りに窮しているとの情報が入った。C社は、B社の窮状を知り、評判の良い本件アプリを改良して自社でも用いたいと考え、B社に対し、本件アプリの著作権の譲受けを申し入れた。藁にも縋る思いのB社は、A社への独占的利用許諾があるにもかかわらず、C社に対して本件アプリの著作権を譲渡した。

A社の担当者は、B社の担当者から「大変申し訳ないが、本件アプリの著作権はC社に譲渡してしまったので、今後の取扱いについてはC社と話をしてほしい」との連絡を受け、著作権譲渡の事実を知った。

慌てたA社の担当者から、次の相談があった。

(ア) A社は本件アプリを今後も配信することができるのか。

(イ) A社としては、C社が同じUIのアプリを配信するのはビジネス上脅威であり、B社との独占的利用許諾契約をしていたことを理由として、C社に対して本件アプリを利用しないように求めることができるか。

(ウ) A社は本件アプリの使用料をB社とC社のいずれに支払えばよいのか。

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