はじめに

日本国憲法の出発点は、アジア太平洋戦争の敗戦と連合国軍(GHQ/SCAP)による占領にある。無謀な戦争は、国民生活も含めた国家社会の全面的な壊滅を導き、日本国憲法に「『戦争の惨禍』へのリアルな体験的洞察」という「現実主義的な一面」1)を与えた。前文にいう「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」や戦争放棄・戦力不保持・交戦権の否認を掲げる9条に明らかなように、〈人権と平和への思い〉が日本国憲法には強く刻印されている。