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Ⅰ. 誹謗中傷に対する法的対応
1. 刑法と民法の評価の違い
インターネット上での誹謗中傷が社会問題化してきた中、2020年5月、リアリティショーを銘打ったテレビ番組に出演していたプロレスラーの女性が、ネット上での誹謗中傷の大量投稿を受けて自死した事件1)が起きた。この事件は、社会に大きな反響をもたらし、発信者情報の開示手続の簡素化が行われ、現在は、抑止が期待される侮辱罪(刑231条)の法定刑引上げ2)や、不法行為の実効的な救済方法としての投稿等の削除のガイドラインなどの検討が行われている3)。¶001