Ⅰ. はじめに

ライセンシーの権利は、平成17年の文化審議会著作権分科会等から検討課題とされていた2)。その後、平成29年度文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会において独占的ライセンシーへの差止請求権の付与等のライセンス契約に係る制度の在り方について検討を行うべきとの意見があり3)、これを踏まえて実施された平成29年度文化庁委託事業「著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関する調査研究報告書」(平成30年3月)(以下「調査研究」という)では、現行法上、独占的ライセンシーが第三者による著作物の利用を差し止めることは困難な状況にあるところ、「昨今の海賊版による著作権者等への被害は拡大しており、独占的ライセンシーが自ら差止請求を行うことができるようになれば、インターネット上の海賊版の削除請求や税関における海賊版の水際差止め等による海賊版対策が容易となることから、円滑な海賊版対策に資する可能性がある」4)として、検討の必要性が改めて示された。こうした経過を受け、現在、文化審議会著作権分科会法制度小委員会著作物等のライセンス契約に係る制度の在り方に関するワーキングチームにおいて独占的ライセンシーに差止請求権を付与する制度の導入等に関する検討が行われている5)。そこで、本稿では、この点に関する現行法の解釈を概観したうえで、将来における立法の方向性を整理することとしたい。なお、著作隣接権にも著作権と同様の考慮が妥当するものと思われるが、本稿では立ち入らない。