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有斐閣法律用語辞典第5版
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Ⅰ はじめに
居住者である個人が、1米ドルを1ユーロに両替した時点または1米ドルで米ドル建有価証券を購入した時点において、所得は実現したといえるか。最高裁令和8年6月16日判決(裁判所Web〔令和5年(行ヒ)第366号〕)(以下「本判決」という)は、これについて最高裁として初めての判断を示した。¶001
事案は、スイス連邦に本店を置く金融機関に資産運用を一任していた居住者X(原告・控訴人・上告人)が、同金融機関による運用の一環として、外貨によって①他の種類の外貨や②有価証券を取得する取引を行ったというものである。処分行政庁は、上記各取引により為替差損益に係る雑所得が生じているなどとして、所得税の更正処分等を行った。Xは上記処分等の取消しを求めたが、第1審(東京地判令和4・8・31税資272号順号13749)及び控訴審(東京高判令和5・5・24税資273号順号13852)はともに請求を棄却した。これに対しXは、上記各取引が行われても為替差益は確定しないから、これに課税することは未確定・未実現の利益に課税するものとして許されず、所得税法36条1項の解釈適用の誤りがあるとして、上告した。¶002
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坂巻綾望「為替差損益に対する所得課税のこれまでとこれから」ジュリスト1629号(2026年)76頁(YOLJ-J1629076)