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Ⅰ 問題の所在──死者の個人情報とは

個人情報とは、当該情報に係る本人として識別できる情報であって、個人情報保護制度は、本人のプライバシー権や自己情報コントロール権の保護などを狙いとしている。この場合、個人情報にも生存者と死者のものがあるが、個人情報の保護に関する法律(以下、「個情法」という)では、「生存する個人」(個人情報2条1項柱書)と定義付けることで、保護されるべき対象をより特定化している。¶001

もっとも、このような個情法における定義付けは、保護の対象を生存する本人にのみ限定することで、死者の個人情報は一切個情法の保護対象とはならないのかなどの疑問はあるものの、制度的に明確な解答は依然示されていない。その一方、令和3年法律第37号による個情法改正(以下、「令和3年改正」という)に伴い、国・自治体における個人情報保護制度の一元化が図られる以前から、自治体における個人情報保護条例を用いた自己情報開示請求において、死者の個人情報が申請者の本人情報である扱いを求める開示請求が、しばしば事例として登場していた。このようなケースについて、筆者もそうであるが、自治体等の個人情報保護審査会委員として勤めた経験のある者にとって、請求人や処分庁(実施機関)が主張する様々な考慮要素を検討するなどして何とか結論を出そうとするなど、頭を悩ました経験は少なからずあるといえるのではないか。¶002