FONT SIZE
S 文字の大きさを変更できます
M 文字の大きさを変更できます
L 文字の大きさを変更できます

事実の概要

Z社(ヤクルト本社。東証一部〔当時〕上場)は、余裕資金を特定金銭信託(特金)等で運用していたが、平成2年以降の株価暴落で特金に多額の含み損が生じた。Z社は、平成3年7月、毎期、資金調達コスト額(年間約10億円)の金融収益を確保しつつ運用益等の範囲内で徐々に特金を整理・縮小すること、資金運用の責任者を管理本部長兼取締役副社長Y1とすること等の基本方針を決定し、Y1は、同年10月以降、株価指数オプションの売り取引を中心とするデリバティブ取引(本件デリバティブ取引)を開始・拡大した。しかし、平成7年初頭の株価暴落により多額の含み損が生じたため、Z社は、監査法人の助言に基づき、Y1に対し、想定元本合計額を平成7年9月30日時点の1268億円から増大させないこと等の制約(本件制約)を課し、経理担当取締役Y2の閲覧とY1の承認を経た個別取引報告書や資金運用チームが半期ごとに作成するシミュレーション表(想定元本合計額、計算上の含み損額を記載)を社長直轄の監査室・常勤監査役Y3に報告させ、監査を受ける体制を整えた上で、平成8年11月の常務会で資金運用を2年程度で収束させること等が決定された(本件常務会決定)。ところが、Y1は、平成9年2月以降、計算式にレバレッジを織り込む「隠れレバレッジ」により表面上は本件制約を遵守しているように装いつつ、実質想定元本を約3990億円まで拡大させた。同年7月頃までは株価の上昇により含み損の額は減少傾向にあったが、同年8月以降の株価暴落で含み損が急増し、デリバティブ取引の相手方から多額の担保の提供を求められた結果、Z社はその資金繰りに支障を来すおそれまで生じたため、平成10年3月に資金運用から全面撤退し、533億2046万円余の損失を被った。¶001