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Ⅰ はじめに

OECD/G20の主導した「2つの柱」プロジェクトのうち、課税権配分の再考を企図した柱1は「死に体」だが、巨大多国籍企業に対してグローバルミニマム税(Global Minimum Tax:GMT)を課すことで、法人税の租税競争に底を設けることを目指す柱2は瓦解を免れている。これは、主要法域のGMT実施法整備が進むのと同時に、独自のミニマム課税制度を有する米国を、共存パッケージによりつなぎとめていることによる。しかし、真に問われるべきは、GMTの存続の成否ではなく、GMTがその目標通り、(有害な)租税競争に底を設けることに成功するのか、である。また、あくまでも主権国家としてGMTを実施する以上は、自国の利益(税収・自国企業の国際的競争環境、コンプライアンスコスト)にかなうかの視点も欠かせない。以下では、OECDの租税競争への取組みを振り返りつつ、GMTの下での租税競争のあり方を展望する。¶001