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Ⅰ はじめに

本稿では、生活扶助基準の引下げに係る最高裁令和7年6月27日判決(民集79巻4号1640頁、以下「本判決」という)の概要を確認した上で()、本判決への厚生労働省(以下「厚労省」という)の対応に検討を加える()。紙幅の関係で文献等の引用は最小限にとどめた。引用文中の下線は引用者によるものである。¶001

Ⅱ 本判決

1 本判決の概要

厚生労働大臣(以下「大臣」という)は、社会保障審議会に設置された生活保護基準部会(以下「基準部会」という)が平成25年1月に公表した報告書(以下「平成25年報告書」という)を踏まえ、平成25年から平成27年にかけて、生活保護法(以下「法」という)8条1項に基づく「生活保護法による保護の基準」(昭和38年厚生省告示第158号、以下「生活保護基準」という)中、生活扶助基準を引き下げる改定(以下「本件改定」という)を行った。その概要は、①受給世帯間の公平を図るため生活扶助基準における展開指数を適正化するゆがみ調整と、②物価変動率を指標として基準生活費を一律4.78%引き下げるデフレ調整を実施するとともに、③激変緩和措置として、改定を3年間かけて段階的に行い、減額幅の上限を10%とするものであった。ゆがみ調整については平成25年報告書における検証結果を2分の1のみ反映すること(以下「2分の1処理」という)とされ、また、2分の1処理とデフレ調整は基準部会の意見を聴くことなく実施された。¶002