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本書は、民法学者である森田修教授が長年にわたり展開してきた契約規範論を、「就労契約関係という場面で実地に走らせようとする」(はしがきⅰ頁)野心的な試みである。著者は別稿において「民法と労働法が一種の絶縁状態にある」ことを指摘しているが(森田修「労働契約における〈合意の内と外〉」法時96巻6号〔2024年〕6頁)、本書はその絶縁状態を乗り越え、「民法と労働法との交錯」の検出に正面から取り組んでいる。2部構成で全13講からなり、各講において著名な労働判例を素材に「交錯」の所在を析出する。見慣れた判例が民法の契約規範論の視角から読み直されることで、民法学が労働法学から学ぶべきものと、民法学の最新の展開が労働法学に与えうるヒントとが、双方向的に浮かび上がる。この再読の手法にこそ、本書の特色がある。¶001