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本書は、白石忠志教授から直接の指導を受けた10名の強力な執筆陣(独禁法学者及び学究心の強い実務家)によるものである。「第1編 古典的優越的地位濫用規制の現在地」、「第2編 新領域における優越的地位濫用規制の可能性と限界」、「第3編 各法域における搾取規制の枠組みと動向」の3編で構成されている。¶001

優越的地位濫用規制は、昭和28年独禁法改正によって導入されたもので、70年超の歴史を有するが、現実の法執行における規制対象やその外縁の正確な把握は決して容易なことではない。評者は、1990年代から独禁法弁護士として活動している者であるが、「優越的地位濫用とは『公取委が優越的地位濫用と認定したもの』のことである」との達観した論評を若手の頃に聞き、複雑な感想を持ったことがある。すなわち、一方では、様々な取引慣行のうち公取委が何を優越的地位濫用として取り上げるかの事前の予測が難しいという点を端的に表しており、「言い得て妙」であると感心しつつ、他方では、そのような規制類型がそもそもあっても良いのか、あるいは、そのような規制類型を解き明かすのが学問の役割ではないか、との疑問を感じた。本書の刊行に至るまでに接した文献において、前記疑問の解消に役立った文献はあるが、本書は、前記疑問に対する回答を、「刊行時点における最良のパッケージで」提供し、取引の当事者に予測可能性を与えんとするものであり、通読する価値が極めて高い。¶002