Ⅰ アクセスプロバイダに対する開示命令申立てに至る実情
アクセスプロバイダ(以下「AP」という)とは、回線事業者を通じてインターネットへの接続サービスを提供する事業者のことであり、経由プロバイダ又はインターネットサービスプロバイダ(ISP)とも呼ばれる。SNSや電子掲示板等に権利侵害情報が投稿された場合、その発信者が契約しているAPから割り当てられたIPアドレスを用いて通信が行われるため、そのIPアドレスやタイムスタンプ等の通信記録が当該SNSや電子掲示板等を運営するコンテンツプロバイダ(以下「CP」という)の管理するサーバに記録される。APはインターネット接続サービスの利用契約者である発信者の氏名や住所等の情報を把握しているのが通常であるから、権利侵害投稿の被害者が当該発信者を特定する手段として、CPの保有する通信記録を基にAPを特定した上で、当該APに対する発信者情報(氏名等)の開示命令申立手続が利用されている。なお、多くのAPにおいて、通信記録の保存期間は3~6か月程度とされているため、権利侵害投稿がされた場合の被害者が発信者を特定するためには、申立てや申立て後の対応を迅速に行う必要がある。¶001