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Ⅰ はじめに──「身上監護(保護)」から人格的利益の保護へ

民法858条は、成年後見人に対し、成年被後見人の生活、療養看護および財産管理に際して、本人の身上に配慮する義務を課している。これによると、成年後見人には、生活・療養看護に関する事項についても広範な権限があるかにみえる。しかし、後見人の法定代理権は、被後見人の「財産に関する法律行為」に限定されている(同859条)。このことから、その身上配慮義務も法律行為に関する範囲にとどまり、しかも法律行為であっても、身体に対する強制を伴う行為や一身専属的な事項は、後見事務に含まれないとされてきた1)。この理解を前提に、次の例を検討してみよう2)¶001