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Ⅰ はじめに

日本民法は成年後見人の財産管理に対する裁判所による事前の規制が少なく1)、適切な財産管理の実現は成年後見人の判断及び家庭裁判所による広範な監督により担保されている2)。本稿は、現行法において、成年後見人がどのような財産管理をすることができるかについて、親権者の財産管理と比較しながら検討することで、成年後見制度と民法の議論の結節を図り、成年後見における財産管理の特徴や今後の検討課題を明らかにすることを目的とする。もっとも、成年後見人が包括的な代理権や取消権を有することは、本人の自己決定や自律に対する外部的な干渉になるなどとの指摘もあり3)、現在、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において、改正に向けた議論がなされている。本稿は現行法を検討対象とするが、現行法における解釈を明らかにすることは、保護者(成年後見人、保佐人、補助人に相当する立場にある者)に現行法よりも限定された形で財産に関する権限を与えるという制度において、保護者に与え得る財産管理の権限の範囲や義務を検討する際の一定の参考になるものと考える。¶001