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ここ数年、エンタテインメント法務の進化が加速する一方、日々新たな法的課題が浮上している。特に芸能分野では、様々な法律問題を含む事件や法的課題についての報道が頻繁に行われている。例えばこの分野に顕著な影響を及ぼしている生成AIへの対応は、喫緊の法的課題といえる。AIと人間いずれが作成したかの区別が困難なコンテンツの増加は、この分野に新たな挑戦をもたらした。¶001

エンタテインメント業界は、強烈な潮流が渦巻く果てしない海のようなものだ。次々と新しい課題が生まれ、論争は絶えず、その広大さゆえに、体系的な整理が容易ではない。また、エンタテインメントに関わる契約書の内容は多岐にわたり、ステークホルダーも非常に多様で、権利関係だけでなく、事実上の利害関係も極めて複雑かつ難解だ。その上、知的財産法、経済法、労働法、民法など、複数の法律が関連し、さらにエンタテインメントを独占的に管轄する省庁が存在しないため、複数の省庁が公表する報告書、ガイドラインの網羅も困難を極める。これは本書の「対象となる法領域を俯瞰する」(第1章1-3)からも明らかであろう。¶002