事実
株式会社クボタ(以下「クボタ」)は、日本鋳鉄管株式会社(以下「日本鋳鉄管」)が自社のダクタイル鉄管製造工場を分社化して設立する製造子会社(以下「新設製造子会社」)の株式に係る議決権の19.9%を取得し、新設製造子会社をクボタ及び日本鋳鉄管の共同出資会社とすること、日本鋳鉄管はダクタイル鉄管の口径の大小を問わず全ての製造工程を新設製造子会社に委託し完成品の供給を受けること、クボタは中口径管及び大口径管の全ての製造工程を自社で行う一方で、小口径管については自社の上工程(溶解、鋳造及び焼鈍)を休止して新設製造子会社に委託し、上工程を終えた半製品の供給を受けて自社での下工程(加工、内面・外面の塗装)を経て小口径管の製造を行うこと、クボタ及び日本鋳鉄管はダクタイル鉄管の販売部門を各々独自に運営することを計画した。なお、両社はダクタイル鉄管の原材料である鉄スクラップの溶解にコークスの燃焼熱を利用するキュポラ炉を使用してきたところ、新設製造子会社には二酸化炭素排出量がより少ない電気炉の導入を計画していた。クボタによる新設製造子会社の株式取得には独禁法10条2項に基づく届出義務はないにもかかわらず、クボタは届出義務がある場合に準じた相談を行い、企業結合審査を受けた。令和5年の小口径管のダクタイル鉄管の市場シェアは、クボタグループが約55%、日本鋳鉄管グループが約15%、他の1社が約30%であった。¶001