事実

Ⅰ. 事案の概要

本件は、老人ホームで准看護師をしていた被告人が、(1)同僚のAにひそかに睡眠導入剤を摂取させ、自動車(以下「A車」という)を運転して帰宅するよう仕向けたことにより、走行中のAを仮睡状態等に陥らせ、A車を対向車線に進出させ、対向進行してきたB運転車両に衝突させ、Aを死亡させるとともに、Bに傷害を負わせ(以下「第1事件」という)、(2)同僚のC及びその夫のDにひそかに睡眠導入剤を摂取させ、Dに自動車(以下「D車」という)を運転してCを同乗させて帰宅するよう仕向けたことにより、走行中のDを仮睡状態等に陥らせ、D車を対向車線に進出させ、対向進行してきたE運転車両に衝突させ、C、D及びEに傷害を負わせ(以下「第2事件」という)、(3)同僚のFにひそかに睡眠導入剤を摂取させ、意識障害等を伴う急性薬物中毒の傷害を負わせたという事案であり、対向車の運転者であるB及びEに対する殺意の有無等が問題となった。