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Ⅰ はじめに

本稿では2025年6月4日に可決・成立した令和7年改正公益通報者保護法(令和7年法律第62号。以下「令和7年改正法」又は「改正法」という)が企業実務に与える影響、とりわけ新たに同法における公益通報者保護のための実効性担保措置として禁止規定や罰則規定が新設されたこと等による影響について検討する1)¶001

Ⅱ 禁止規定、罰則規定の導入

現行法においては、公益通報を行った従業員に対する解雇無効の規定のほかに、不利益取扱い2)の禁止が明文化されているところ(現行法3条・5条)、令和7年改正法では、3条1項で解雇を含めた不利益取扱いを禁止するとともに、同条2項において、解雇処分に加えて懲戒処分についても無効となることが明文化された3)。また、新たな行為規範として、正当な理由なく公益通報を妨げることの禁止(法11条の2第1項)及び公益通報者を特定することを目的とする行為の禁止(法11条の3)が明記された4)¶002