事実
Xら(原告・控訴人)は、それぞれ訴外Aとの間で自動外貨・円貨両替機管理運営委託契約(本件各契約)を締結し、Aが設置する自動両替機内の邦貨・外貨の装填、金員管理及び回収を委託していた。委託業務の概要は、まず、XらがA名義の預金口座への送金によって両替準備資金を交付する。同口座は専用入金口座ではなく本件各契約以外のAの業務にも用いられているものであった。Aは両替準備資金を用いて所定の両替機(本件各両替機)の邦貨カセットに両替金(邦貨)を装填し、本件各両替機から邦貨・外貨の入った受取カセットを回収するとともに、回収した金銭の合計額(外貨については換金後の額)をXらの指定する口座に送金し、または両替準備資金に充てるものとされた。もっとも、実際の邦貨・外貨の装填、回収及び邦貨の集計等は、Aからの(再)委託契約を受けた訴外Nが行い、AはXらに対してNその他の再委託先に委託できる業務以外の業務を行う義務を負わないとされていた。本件各契約及びAN間の(再)委託契約において現金の所有権の帰属に関する条項はなかった。令和元年9月19日、Aについて破産手続開始決定がされ、破産管財人にY(被告・被控訴人)が選任された。Xらは、本件各契約が信託契約であるとして、Yが保管している本件各両替機から回収した本件金員(邦貨及び外貨)につき、信託財産であるから破産財団を構成せず、Yは管理処分権を有しないとして、邦貨につき不当利得返還請求として金550万円余りの支払及び外貨につきその引渡しを求めて訴えを提起した。¶001