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事実

X(原告・控訴人)は、①自己由来の血漿、②塩基性線維芽細胞増殖因子(b-FGF)、③脂肪乳剤の3つの成分を含有する「豊胸用組成物」の発明(以下「本件発明」という)に関する本件特許(特許第5186050号)の特許権者である。本件発明の「組成物」は、その製造のために被施術者の体内からの採血を要し、製造された組成物はそのまま被施術者の皮下に投与することが予定されている。Y(被告・被控訴人)は、医師であって、令和元年頃から令和4年頃にかけて、豊胸手術等の美容医療サービスを提供していた者である。Yが、その経営する美容クリニックにおいて提供する「血液豊胸術」に用いるための薬剤を生産したことによって、本件特許権が侵害されたとして、Xが、Yに対して損害賠償金の支払を求めたところ、原審(東京地判令和5・3・24裁判所Web〔令和4年(ワ)第5905号〕)は、Yが上記①~③の成分が同時に含まれる薬剤を調合して被施術者に投与したと認めるには足らないとして、特許権侵害を認めず、Xの請求を棄却した。これに対し、Xが控訴したのが本件である。¶001