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 事実の概要 

「コメント配信システム」なる特許権をわが国において有するX(原告・控訴人)が、米国に所在する複数のサーバを介して、わが国内に所在するユーザ端末にコメント付き動画配信サービスを行っていたYら(被告・被控訴人)に対し、同サービスに係る各システムが当該特許権を侵害するとして、わが国内に所在するユーザ端末への配信の差止め、損害賠償等を求めて東京地裁に提訴した。¶001

原審たる東京地判令和4・3・24(裁判所Web〔令元(ワ)25152号〕)は、「特許権の効力が当該国の領域内においてのみ認められることを意味する属地主義の原則から、特許法2条3項1号の『生産』に該当するためには、特許発明の全ての構成要件を満たす物が、日本国内において新たに作り出されることが必要であると解すべきであるところ、Y各システムの構成要素であるY各サーバは、いずれも米国内に存在し、日本国内に存在するユーザ端末のみでは、本件特許に係る発明の全ての構成要件を充足しない」旨判示した上で、Y各システムのわが国内での「生産」を認めず、結果、特許権の侵害の事実を認めることはできないと判断し、Xの請求をいずれも棄却した。¶002