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 事実の概要 

Y(キヤノン─被告・被控訴人)は、プリンターとそれに装着して使用する純正品インクカートリッジを製造販売する事業者であり、X(エコリカ─原告・控訴人)は、使用済みのYの純正品を回収してインクを充塡するなどして再使用した再生品インクカートリッジを製造販売する事業者である。¶001

Yの純正品カートリッジには、インク残量データを管理するためのICチップが搭載されている。従来、純正品のICチップはインク残量データを初期化できる仕様であった。Xが製造販売する再生品は、純正品内蔵ICチップのインク残量データを初期化したものであった(以下「本件再生品」)ため、Yのプリンターに装着すると、純正品と同様に、インク残量が表示され、インクエンドサイン(インクの枯渇を通知する表示)が出て、インクエンドストップ機能(プリンターが印刷を自動停止する機能)を利用できた。ところが、平成29年9月以降、Yは、特定品番のプリンター(以下「本件プリンター」)に使用される純正品を、インク残量データを初期化できない仕様に変更して販売した(以下「本件純正品」)。¶002