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 事実の概要 

O社の経営者Aは、O社の全株式の譲渡(予定価格:1株当たり10万5068円)に向けた法的拘束力のない基本合意を平成26年5月にV社と締結した翌月に死亡した。以降、代表取締役を継いだAの妻の貢献により買収監査などM&Aの手続が進められ、同年7月、相続人Xら(原告・被控訴人)は、相続したO社株式が後にV社に譲渡されることを条件として、Aの妻に上記譲渡予定価格と同額で売却した。¶001

平成27年2月、Xらは、財産評価基本通達(以下「評価通達」という)に従い、「取引相場のない大会社の株式」に該当するO社株式の価額を類似業種比準価額(1株当たり8186円)で評価し、相続税の申告を行った。これに対して、所轄税務署長は、評価通達により評価することが著しく不適当と認められるとして、評価通達6に基づき、国税庁長官の指示を受けて国際会計事務所Kからの株式価値算定報告額(1株当たり8万373円。以下「本件算定報告額」という)に基づきO社株式を評価し、平成30年8月付けで更正処分を行った。¶002