FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

(1)

X(原告・控訴人)は、1960年生まれの知的障害者(東京都の総合判定では、5段階評価のうち軽度の4度)であり、1979年9月から東京都H市より施設入所の措置を受け、同市が設置する知的障害者更生施設で生活をしていた。1990年以降の4年間はアパートを借りて一般就労をしながら自立生活を行っていたが、1994年5月頃、勤務先を解雇されて居住先を失い、同年6月頃、再び上記施設に緊急一時保護された。Xはその後、知的障害者更生施設への入所を希望したため、H市は、北海道S市にある社会福祉法人Y(被告・被控訴人)が経営する知的障害者更生施設A園を紹介、Xは1994年11月に同施設への入所の許可を得た(なお、後掲札幌地判平成18・3・27では、この入所は旧精神薄弱者福祉法17条に基づく委任を受けたH市福祉事務所長が、A園に、Xの入所委託をする措置決定であると認定されている)。¶001