FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

(1)

本件は、無認可保育所で保育を受けていた幼児が熱射病で死亡したことについて、幼児の両親が損害賠償を請求した事案である。平成19年7月27日、当時2歳7か月だったAは、園外保育から帰園した際に車に取り残され、約3時間後に発見されて救急搬送されたものの、熱射病のために死亡した。¶001

(2)

Aが利用していた保育所は、被告株式会社Y1が運営する無認可保育所であり、当時26名の乳幼児を保育していた。Y1には代表取締役Y2および専務取締役Y3、主任Y4のほか、Y5~Y8までの4名の職員がいた。Y5(元園長)が企画した園外保育は、Y3が反対したために当日に急きょ行先を変更して、Y2が電話で許可して実施され、AはY6・Y7が帰園を担当する7名に含まれていた。Y6・Y7は降車時に人数確認をしておらず、Y6は、その後の幼児の昼寝中にAの所在を確認しないまま連絡帳にAの昼寝の様子を記入し、昼寝後のおやつの時間になってはじめてAの不在に気づくこととなった。なお、本件保育所は、平成16年7月の開設後、Y9(北九州市)の職員の立入調査や文書もしくは口頭による改善指導を受けており、直近では、平成19年1月に、立入調査を受けて消防計画の不備などを指摘されていた。¶002