FONT SIZE
S
M
L

事実の概要

(1)

昭和35年2月1日生まれのX(原告・控訴人)は、先天性の障害があり、人工肛門の造設を受けていた。そして昭和60年4月25日(身体障害4級)、昭和62年2月13日(身体障害3級)に、身体障害者手帳をそれぞれ交付されている。¶001

(2)

Xは、平成18年10月30日、国民年金障害基礎年金裁定請求を行ったところ、東京社会保険事務局長(本件当時)から、同年11月29日付けで「国民年金 障害福祉年金裁定通知書」、さらに同年12月21日付けで「国民年金裁定通知書」の交付を受けた。これらは、Xが成年に達した昭和55年1月31日に、昭和60年改正法による改正前の国民年金法(以下、「旧国年法」)に基づく障害福祉年金の給付を受ける権利を取得し、この支分権の全部が時効消滅、また昭和60年改正法による改正後の国民年金法(以下、「改正後国年法」)に基づく障害基礎年金については、昭和61年4月に受給権を取得し、平成13年7月分以前の年金は時効消滅した旨の裁定であった。Xは、障害福祉年金および障害基礎年金の支分権が時効消滅したのは、昭和62年3月ころ、障害基礎年金の申請をするためA市市民課国民年金係に赴いた際、受付担当職員(以下、「本件職員」)から、障害基礎年金の受給資格はない旨の誤った教示を受け、障害基礎年金の申請を断念せざるを得なくなったためであるとして、Y1(国―被告・被控訴人)およびY2(合併によりA市の地位を承継する市―被告・被控訴人)に対し、時効消滅した年金相当額の支払を求めて国家賠償法に基づく訴訟を提起した。¶002