事実
本件は、X(申立人・抗告人)が、インターネット接続サービスを提供する台湾法人であるY(相手方・相手方)に対し、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(以下、「プロ責法」)5条1項、8条の規定に基づき、氏名不詳者Zの各投稿に係る発信者情報の開示命令を申し立てた事案である。Xは、ZがYの提供する電気通信設備を経由して、Xが著作権を有する漫画の画像データをサイトCのサーバに複数回アップロードしたこと(以下、「本件各投稿」)が、Xの複製権及び公衆送信権を侵害するものであり、発信者情報の開示がZに対する損害賠償請求権等の行使のために必要であると主張している。原審(東京地決令和6・3・28 D1-Law 28323166)では、プロ責法9条1項3号所定の国際裁判管轄の有無が争点となった。原決定は「本件各投稿は、台湾に所在するYが、台湾に所在する者との間で締結された台湾に所在する者向けのプロバイダ契約に基づき提供したインターネット接続サービスを利用して行われたことがうかがえるのであって、少なくとも、本件がYの日本における業務に関する訴えであると認めるに足りる証拠はない」ため、日本の裁判所にプロ責法9条1項3号所定の国際裁判管轄があるとはいえないとして本件申立てを却下した。¶001