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Ⅰ はじめに

2024年3月、紅麹を原料とする機能性表示食品による健康被害が明らかとなった。厚生労働省によれば、2025年2月3日時点において、この健康被害による医療機関受診者数は延べ2681名、入院者数は延べ551名にのぼる。この健康被害の深刻さを受けて、消費者庁は、2024年4月に機能性表示食品を巡る検討会を設置して8月に食品表示基準を、厚生労働省も同月、食品衛生法施行規則を改正した。¶001

2015年に始まった機能性表示食品制度は、特定保健用食品(通称トクホ)と比して事業者の参入が容易であったことから、2023年度末時点の届出件数は約7000件に達し、市場規模も年々増加している。紅麹原料の機能性表示食品による健康被害の発覚から約半年での行政の対応は迅速なものであったが、機能性表示食品が今後も増加することを踏まえれば、今回の制度改正の意義を整理し、今後の課題を検証しておくことには意義がある。¶002