FONT SIZE
S
M
L
事実
被相続人Aは、平成27年4月、アメリカ合衆国の市民権を取得した者である。X(申立人・抗告人)は、同年5月20日、Aと婚姻した。Aは、平成30年3月28日、死亡した。その最後の住所は、アメリカ合衆国ネバダ州ラスベガス市にあった。Aの共同相続人は、妻であるX並びにAの先妻との間の子であるY1及びY2(いずれも相手方・相手方)の3名である。裁判所によれば、「Aの遺産は、別紙不動産目録記載の各土地(以下「本件土地」という。)である(国内において他に判明している遺産はない。)。」とされており、本件土地は、いずれも日本国内にある。Yらは、いずれもアメリカ合衆国の市民権を取得している者であり、同国に居住している。Xは、YらにAの遺産の分割協議を申し入れたが、Yらは、これに応じておらず、同協議を行うのは困難な状況にある。本件は、Xが、Yらに対し、Aの遺産の分割を求める審判を申し立てた事案である。原審(横浜家相模原支審令和4年(家)第390号〔公刊物未登載〕)は、Aが同州ラスベガス市に最後の住所を有していたことから、家事事件手続法3条の11第1項により、日本には国際裁判管轄がないとして、本件申立てを却下する審判をしたところ、Xは、これを不服として抗告した。¶001