◆第1章 国際仲裁の合意
第1節 仲裁合意の分離独立性
Ⅰ はじめに
Ⅱ 実質法上の分離独立性
1 分離独立性の意味
2 分離独立性原則の根拠
3 分離独立性原則と仲裁権限判断権の関係
4 分離独立性原則の適用
Ⅲ 抵触法上の分離独立性
Ⅳ おわりに
第2節 仲裁合意の準拠法
Ⅰ はじめに
Ⅱ 仲裁合意準拠法の決定
1 旧法下での解釈とニューヨーク条約、モデル法の規律
2 仲裁法の解釈と通則法7条・8条との関係
3 主契約準拠法と仲裁合意準拠法の関係
4 仲裁地の決定
Ⅲ 仲裁合意準拠法の適用が問題となりうる法律関係
1 仲裁合意締結能力
2 仲裁合意の方式
3 仲裁可能性
4 消費者・労働者の保護
5 仲裁合意の分離独立性
◆第2章 国際仲裁における実体準拠法
第1節 国際仲裁における実体準拠法の決定
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 仲裁法36条の事項的適用範囲
1 「仲裁判断において準拠すべき法」
2 事件の渉外性
Ⅲ 当事者自治原則
1 通則法36条1項の趣旨
2 準拠法指定の態様
3 非国家法の指定
4 「化石化」条項
5 抵触規範の指定
Ⅳ 当事者による準拠法指定がない場合の扱い
第2節 国際仲裁における国際的強行法規の扱い
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 当事者間の合意と国際的強行法規の緊張関係
1 仲裁合意・仲裁可能性との関係
2 準拠法選択合意との関係
Ⅲ 国際的強行法規の適用根拠
1 仲裁の性質論との関係
2 国際的強行法規の適用を命じる規範
3 国際的強行法規の適用を基礎づける要素
Ⅳ 国際的強行法規適用の要件・効果
1 適用要件
2 仲裁廷の職権か裁量か
3 国内公序か超国家的公序か
4 「適用」か「考慮」か
Ⅴ おわりに
第3節 国際仲裁における準拠法の調査・適用
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国際私法的処理―仲裁地国民事訴訟ルールの適用?
Ⅲ 仲裁手続法的処理
1 当事者自治原則
2 仲裁廷の義務としての職権的手法(iura novit tribunus)
3 当事者主義的手法(iura novit tribunus の否定)
4 仲裁廷の権限としての職権的手法(ハイブリッド・アプローチ)
5 評 価
Ⅳ 仲裁廷の権限としての職権的手法の採用と仲裁判断取消し
1 準拠法の内容調査・適用と仲裁判断取消しの関係
2 仲裁廷の手続違背
3 仲裁廷の権限踰越ないし付託事項逸脱
4 審問請求権の侵害
5 評 価
Ⅴ おわりに
◆第3章 国際仲裁における仲裁判断の取消し及び執行
第1節 実体判断基準の適用違背と仲裁判断の取消し
Ⅰ 問題の所在
Ⅱ 法の解釈・適用上の過誤
Ⅲ 当事者が合意した実体判断基準の適用違背
1 仲裁法36条1項、3項と仲裁判断取消しの関係
2 仲裁手続の違反を問題とする考え方
3 付託事項からの逸脱を問題とする考え方
4 当事者の尋問請求権侵害を問題とする考え方
5 検 討
Ⅳ 当事者による準拠法指定がない場合の扱い
第2節 「法の明らかな無視」による仲裁判断取消し
Ⅰ はじめに
Ⅱ 「法の明らかな無視」法理の根拠
Ⅲ 「法の明らかな無視」法理の実像
1 高い援用頻度と低い成功率
2 「法の明らかな無視」による取消しの実例と特徴
Ⅳ 「法の明らかな無視」法理の動揺
1 学説上の批判
2 Hall Street 事件判決―「法の明らかな無視」法理の終焉?
3 Stolt-Nielsen 事件判決による揺れ戻し
Ⅴ おわりに
第3節 仲裁判断を確認する外国判決の執行
Ⅰ はじめに
Ⅱ 米国における仲裁判断の執行と溶解理論
1 仲裁判断の確認と執行
2 溶解理論と国際仲裁
Ⅲ ドイツにおける扱い
1 1984年の連邦通常裁判所判決
2 学説の状況
3 2009年の連邦通常裁判所判決
Ⅳ 検 討
1 「執行許可に対する執行許可なし」の原則
2 仲裁判断確認判決の性質決定
3 仲裁判断に関する仲裁地国のコントロールとその限界
◆第4章 国際仲裁と国家法秩序
第1節 国際仲裁と国家法秩序の関係
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国際仲裁における実体判断基準の決定
1 当事者自治の最大化
2 当事者による法選択がない場合の準拠法
3 国際仲裁における実体判断基準の柔軟化の要因と限界
Ⅲ 仲裁地国で取り消された仲裁判断の承認・執行
1 仲裁判断の「国際」性を理由に執行を認める見解
2 取消判決が承認されない場合に仲裁判断の執行を認める見解
3 取り消された仲裁判断の執行を認めない見解
Ⅳ 国際仲裁と国家法秩序の関係のあり方
1 問題の所在
2 国際仲裁の仲裁地国法秩序への「強い」組込み
3 国際仲裁の仲裁地国法秩序への「弱い」組込み
Ⅴ おわりに
第2節 国際社会における法規範の多元性と国際私法
Ⅰ はじめに
Ⅱ 国家法規範の国際的多元性に対する抵触法的対応
1 単一国家法への客観的連結による多元性の解消
2 複数国家法への客観的連結による多元性の積極的利用
3 主観的連結による多元性の積極的利用
Ⅲ 法規範の脱国家化による多元性の拡大と国際私法
1 実質法規範の脱国家化
2 抵触法規範の脱国家化
3 紛争解決手段の脱国家化
Ⅳ 今後の展望
1 法規範の多元性に対する抵触法的対応の変化―多元性の解消から多元性の活用へ
2 法規範の多元性活用を基礎づけるもの
3 紛争解決手段の脱国家化
第3節 仲裁法の世界法化と国際私法
Ⅰ 総論的検討―仲裁法の世界法化とその影響
1 国際仲裁に関する法的規律の国際的平準化
2 国際仲裁の非国家化・自律化
3 仲裁法の「世界法」化
4 世界法化する仲裁法の解釈・適用
5 仲裁法の世界法化と国際私法への影響
Ⅱ 各論的検討
1 「手続は仲裁地法」原則の意味
2 渉外実質法的処理の可能性
3 仲裁抵触法の規律
Ⅲ まとめと展望
1 世界法化か断片化か
2 仲裁法の世界法化の限界と抵触法的処理のあり方
3 仲裁法の世界法化と国際仲裁のグローバル・フォーラム化
4 仲裁法の世界法化と一般国際私法への影響