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本書は、中野俊一郎教授が2010年から2022年にかけて公表された国際仲裁に関する論文につき、加筆修正の上で1冊の書として纏められたものである。¶001

本書タイトルからも窺い知れるように、中野教授は国際私法の研究者である。ただ、国際仲裁を含む国際民事手続法は、民事手続法研究者と国際私法研究者の双方が相乗りする分野である。また、国際仲裁については、これを業務とする実務家の手による論文・書籍も多い。そして、かかる関連論文・書籍の量は、2017年以降の「骨太の方針」で「国際仲裁の活性化に向けた基盤整備のための取組」がわが国の重要政策となって以来、ますます増大している。そうした状況下に刊行された本書は、現在の国際仲裁実務を単に解説するといったものでは決してなく、研究者ならではの独自の理論的分析が様々に盛り込まれたものとなっている。また、そこにおける分析も国際私法研究者ならではのものであり、この点に本書の第1の特徴があるといえよう。¶002