事実
Ⅰ
Y社(本件対象会社)はA社保有の土地の利活用を目的として設立された株式会社であり、当時は東京証券取引所市場第一部に上場していた。A社はY社株式の67.30%を保有するY社の連結親会社であり、Z社(利害関係参加人)はY社株式の取得・保有を目的として設立されたA社の完全子会社である。¶001
Ⅱ
平成30年7月2日、A社はY社に対してY社の完全子会社化に向けた取引(以下「本件取引」という)の協議開始を申し入れた。同年8月16日、Y社はY社及びA社から独立した委員から構成される第三者委員会(以下「本件委員会」という)を設置し、本件取引における買付条件の妥当性等について諮問した。本件委員会は諮問型であり、A社との交渉権限や財務アドバイザーの選任権限等は与えられていなかった。同年9月7日、A社はY社株式にかかる公開買付け(以下「本件公開買付け」という)の買付価格として1株あたり1470円を提案した。本件委員会での検討を経て、同月12日、Y社はA社に対して1株あたり1900円(本件委員会で検討された提案額と同額)を提案した。同月21日、Y社は、歩み寄れる水準は1700円か1600円代後半であると示した。当該金額につき、本件委員会では、買付者が対象会社株式の3分の2超を保有するような公開買付けにおいてプレミアム40%は説明のつく水準であること(当時の株価は1200円)等が説明された。同月26日、A社は買付価格を1670円とする提案を行った。同年10月9日、Y社はA社に対して、同日時点の株価(1336円)を前提とすると提案価格のプレミアムは25%と高くなく、本件委員会でもプレミアム20%割れの場合には再交渉が必要との指摘があったこと等を申し入れた。¶002