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1970年代から80年代にかけて、複数組合が併存する企業で、賃金等の労働条件に関する組合間差別の不当労働行為性が問題となった。バブル経済崩壊後の1990年代、使用者が解雇ではなく、労働者の辞職を促す、ないし強要するために遠隔地への転勤や無意味な仕事を割り当てる等の中高年従業員を対象にした人事処遇の法的効力が議論となった。その後、世紀をまたぐころ、会社、職場の上司による場合のみならず、同僚間のいじめ・いやがらせが社会的病理現象として話題となっていった。いじめ・いやがらせは小・中学校や高校を中心とした学校社会のみならず、大人の労働社会でも起きている(ときには被害者が自死にいたることも、同じである)。2000年代はじめ、女性経営コンサルタントがこのような現象について「パワー・ハラスメント(パワハラ)」と呼ぶことを提唱した。当時すでに社会的に認知されていたセクシュアル・ハラスメント(セクハラ)の連想からか、瞬く間に社会のなかに拡がり、すでに四半世紀近くを経過している。今日では、労働法の概説書でも、こうした表現を当然のごとく目にするようになっている。¶001