事実の概要 

X(研究者─原告・控訴人)は、発明の名称を「ウイルスおよび治療法におけるそれらの使用」とする特許(本件発明)に係る特許権者である。Xの研究グループは、本件発明に係るウイルスの具体例であるG47Δの商品化を目指し、2015年頃から、日本において、悪性脳腫瘍の一種である膠芽腫を適応症として、臨床試験(第Ⅱ相試験)を行っている。

Y(米国Amgen社の日本法人─被告・被控訴人)は、2017年3月頃から、日本国内において、本件発明の技術的範囲に属するウイルス(T-VEC)を使用して、悪性黒色腫を適応症とする治験(本件治験)を行っている。本件治験は、Yの米国法人がT-VECについて米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)から製造承認を受けたことに基づき、当該外国の臨床データを日本人に外挿できるかどうかを確認するためのブリッジング試験である。