事実
X(原告・控訴人。障害程度区分4、市町村民税非課税世帯)は、65歳に達するに際して要介護認定の申請をせず、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、「障害者総合支援法」「法」ともいう)20条1項に基づき、平成18年から利用していた居宅介護サービスの介護給付費(平成18年4月から平成22年3月までは1割の利用者負担をしていたが、同年4月以降は利用者負担がなくなった)の支給申請をした(以下「本件申請」という)。Y(千葉市、被告・被控訴人)は、Xが介護保険給付を受けることができるところ、要介護認定の申請をしておらず、そのため介護保険サービスの支給量を算定できず、これに上乗せすべき障害福祉給付の支給量も算定できないとして、本件申請を却下した(以下「本件処分」という)。Xは①本件処分の取消し、②本件申請の支給決定の義務付け及び③国家賠償法1条に基づく損害賠償等を求めてYに対して訴えを提起した。原判決(千葉地判令和3・5・18判自511号165頁)は、65歳以上の障害者が要介護状態にあることが見込まれる場合、介護保険法上の要介護認定の申請をしないことに正当な理由がない限り、この申請をすることが介護給付費の支給申請の適法要件となるところ、Xは本件申請の適法要件を満たさないとして②の請求を却下し、①と③のいずれも棄却したため、Xが控訴した。¶001