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Ⅰ はじめに

離婚後共同親権導入を伴う民法改正(令和6年法律第33号、以下「改正法」という)が令和6年5月17日に成立した。本稿は、改正法の施行に向けた課題を、弁護士の立場から論じるものである。もっとも、我が国においては協議離婚の割合が9割近くを占めており1)、弁護士に見えているのは、ほんの一部分に過ぎない。そのため、本稿では、紛争が高じてしまってから離婚当事者にかかわることが多い弁護士という立場から、子どもの利益に焦点をあてた解決が可能になるために、高葛藤化に至る前の段階で必要だと思われる基盤整備につき、検討してみたい。¶001