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Ⅰ はじめに

2021年3月からの、法制審議会家族法制部会(以下、「部会」)での調査審議を経て、2024年5月17日に「民法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第33号。以下、「改正法」、改正法に係る民法の条文は「改正後民」と引用)が成立した1)。本稿は、親権と監護権に関する改正法の内容を紹介する。¶001

部会では、離婚後も父母双方を親権者とすること及びそれを容認する範囲に関して激しく議論された。背景には、①子への虐待やDVの継続へのおそれ、②当事者間の合意に不適切なものがあるおそれ、③親権行使が適時になされず子の利益を害する懸念などがある2)¶002