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問題の所在
外国人労働者の受入れ政策をめぐっては伝統的な仮説がある。¶001
すなわち、高度な専門性や技術を有する外国人の受入れは、受入れ国の国益を増大させるが、未熟練労働者(いわゆる単純労働者)の受入れは、国内労働者との競合により、国内労働者の失業や賃金など労働条件の引下げを発生させ、受入れ国の労働市場に悪影響を与えるおそれがあるというものだ1)。¶002
それゆえに先進各国は、専門的な人材は競って受け入れようとし、より高度な人材については優遇措置を講じる一方で、単純労働者の受入れは各国で政策が分かれており、(1)受け入れない、または、(2)受け入れるとしても、無条件ではなく、(a)労働市場への悪影響を回避するための仕組みをつくったうえで制限を設けて受け入れる、(b)従事する国内労働者が不足する分野では、競合が生じないのを確認して受け入れる、といった対応がなされる。¶003