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Ⅰ はじめに
多文化共生にとっても大きな意味を有する出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」)は、占領期の資料にも裏付けられた研究による1)と、その成り立ちにおいて、旧植民地住民への差別的意識に裏付けられており、日本国憲法の基本的価値との矛盾を孕んでいたとされる。そして、その後も、運用ないし現場においても排外的な姿勢が続いており2)、昨今の法改正によっても是正されたわけではないという3)。このような認識を踏まえて、多文化共生を真に推進するため、弥縫策にとどまらない、法制度の抜本的改革が必要だという論者もいる4)。移民政策に否定的な保守層からも、日本政府の確たる政策の欠如が、外国人の日常生活に関わる、地方公共団体やその住民の大きな負担を招いているとの批判がある5)。¶001