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Ⅰ 問題の所在

特許出願非公開制度は、公開されると日本の安全保障に懸念を来す技術に係る情報が特許出願に含まれているとき、特許庁と内閣府による2段階の保全審査を経て、内閣総理大臣が保全指定を発することにより、出願内容の秘匿化を確保するための措置をとることを可能とする制度である。保全指定の効果は、具体的には、指定を受けた特許出願人に対しては、保全対象発明を実施してはならず(経済安保73条1項)1)、保全対象発明の開示が原則として禁止され(同74条1項)、保全対象発明の情報の漏洩防止措置を講じなければならず(同75条1項)、指定を受けた特許出願に対しては出願公開や拒絶査定や特許査定がなされない状態が継続し(同66条7項)、さらに保全対象発明の外国への出願が禁止されたままとなる(同78条1項)などの制約が課される。¶001