FONT SIZE
S
M
L

本記事の目的と対象

この記事は、日本国憲法施行後、いわゆる55年体制が崩壊するまでの衆議院の解散についての議論状況を、歴史的な流れのなかに位置づけて、個々の解散・総選挙についての基本的なデータとともに整理し、一覧に供することを目的とする。終わりの時点を1990年代にしたのは、冒頭に示したような解散権の限界についての議論が形成された時期を扱うためである。その後の時期についても同様の検討が求められることを否定するものではないが、対象時期は現在から見たときに分かりにくくなりつつあるため、独立した整理をすることが許されるであろう。大学の憲法の教室との関係では、教材として利用されてきた戦後の解散の一覧表(たとえば、初宿正典ほか編著『目で見る憲法〔第6版〕』〔有斐閣、2024年〕88頁~90頁)を補うものとして、学習に用立てていただけるのではないか、と思われる。¶001