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Ⅰ はじめに
金融商品取引法(以下、「金商法」という)に基づくサステナビリティ情報開示の現状を把握するため、はじめに、神田秀樹教授の2022年の発言を引用しておきたい。¶001
「財務情報の開示については長年の歴史があります。会計基準に基づいて作られた財務諸表が監査を受けて比較可能性と情報の信頼性を高め、投資家がそれを見て投資するかを決めるという構造が長年の歴史と経験を通じて築き上げられています。……その一方で、非財務情報についてはまず基準がないので、言い方は悪いですけれども、企業が良いことばかりを書くということを防ぎようがありません。監査(保証)もないので、企業がそれぞれ書いたものを比較するのも難しく、どういう基準に基づいて作られたかも分かりません。……そこで今やろうとしていることは、まず気候変動のところについて基準を作りましょうということです。基準ができたら、その基準に従って情報開示してください、その次に監査(保証)を入れましょうとなるでしょう」(下線は筆者)1)。¶002