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　事実の概要　

Y（M市─原審債務者・相手方）は、M市立国際版画美術館（版画美術館）の所有者である。X（原審債権者・抗告人）は、版画美術館およびその敷地・周辺部分の庭園（本件庭園）の設計等の業務を行った建築設計事務所の代表者であった。版画美術館および本件庭園は、昭和61年8月に竣工した。¶001

Yは新たにM市立国際工芸美術館の新築に伴う工事（本件工事）を計画するところ、本件工事による改修・変更が版画美術館および本件庭園に関するXの著作者人格権（同一性保持権）を侵害するとして、Xが本件工事の差止め（著作112条1項）を求めたのが本件である。主たる争点は、版画美術館の著作物性、本件庭園の著作物性および本件工事による同一性保持権侵害の成否である。¶002