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 事実の概要 

川崎市に居住していたA(令和3年死去)は、市内において、平成27年11月8日の第1弾デモや同28年1月31日の第2弾デモ等、5回にわたりデモ等を行ってきた。その中の4回の開催にあたり、Aはデモの集合地および集会の地として使用するため、市長より市内公園における行為の許可を得た。¶001

Aは、平成28年5月20日、デモの集合、到着、集会の会場として利用することを目的として、同年6月5日における市内の2つの公園の利用に係る本件申請を行った。Y(川崎市─被告)は、本件集会でも不当な差別的言動が騒々しく行われる蓋然性が高く、公園の利用者や通行人、周辺住民のうち韓国人、朝鮮人の人格権を侵害する危険性がある等、公園の通常利用が事実上不可能になると判断した。ゆえにYは同年5月30日、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律(以下「ヘイトスピーチ解消法」)が定める「不当な差別的言動」を行うおそれがあるとして、市都市公園条例(以下「本件条例」)3条4項に基づき、本件申請を不許可とした(以下「本件不許可処分」)。そこで本件集会への参加を予定していたXら(原告)は、表現の自由等が侵害されたとして、Yに国家賠償を求めて出訴した。¶002