はじめに
二院制(両院制)は、議会組織と両院の権限関係から規定される。その起源は英国に求められ、日本でも帝国議会、国会と二院制議会を擁してきているが、日本国憲法下の公選上院である参議院の存在意義は創設時から種々議論されてきた。¶001
そして、1990年代の政治改革の流れを作ったのも、参議院の選挙である。リクルート事件の発覚による政治不信、消費税導入による反発が生じた後、平成元年の参議院議員通常選挙で自由民主党は参議院の多数を失い、参議院で少数与党となる「ねじれ国会」が生じた。これ以降、参議院での過半数確保のため、政党間連携ないし連立政権が常態化するようになる。そして、日本では1990年代以降の政治改革と行政改革により、英国をプロトタイプとするウェストミンスター・モデル1)の要素が統治機構に導入されてきている。具体的には、下院である衆議院における小選挙区制の導入、二大政党制への指向、執政部の権限強化などが図られたわけだが、参議院の憲法上の地位はそのままに改革が行われたことから、その再考が迫られている。¶002