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Ⅰ 政治改革──30年後の受け止め

衆議院選挙制度と政党制度の改革(以下、「政治改革」とする)は、1994年に成立したいわゆる政治改革関連法1)の柱であった。内容は、中選挙区制から小選挙区比例代表並立制(以下、「並立制」とする)への衆議院選挙制度の変更、企業・団体からの寄付制限を強化するとともに政治資金の透明性を高めようとする政治資金規正法改正、「政党の政治活動の健全な発達」を促進する(政党助成1条)ための政党助成制度の創設である。政治改革30年を機に実施された世論調査2)によれば、これらの改革を評価するかしないかという問いへの回答は、「評価する」「ある程度評価する」がそれぞれ2%と21%であったのに対し、「あまり評価しない」「評価しない」は52%と21%であった。政治資金の問題が解決されないことや、政権交代が起こらない現状が厳しい評価の理由である。政治改革20年を前にした段階でも,改革が期待された成果を挙げていないとの指摘が見られたが3)、折しも、2023年暮れに与党自民党でパーティー券収入の政治資金収支報告書への過少記載による裏金作りが発覚して、現職議員から逮捕者が出る事態4)に至り、改革は期待外れどころか、むしろ新たな腐敗を生み出しているようにも見える。¶001