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Ⅰ 統治構造改革をどうみるか
世紀の変わり目を挟んだ1990年代から2000年代初頭にかけて、統治機構のみならず人権分野にもわたる、憲法全般に関わった一連の制度改正が行われた。1980年代から1990年代の国内外の憲法を取り巻く環境の変化の大きさを考えれば、日本国憲法施行からほぼ半世紀にあたるこの時期に、憲法を具体化する仕組みの見直しが焦点となり、重要な改革が集中したことは偶然ではないといえるかもしれない。¶001
1990年代から2000年代初頭にかけて、憲法の統治機構と密接に関わる一連の改革が行われ、憲法の動態の面でも大きな変化が生じた。統治構造をめぐる改革は、一貫性をもったものとしてデザインされ、新たな憲法秩序が形成された。しかし、憲法秩序を統御する、一見すると簡略な憲法テクストの背後には、複雑なメカニズムが内包されており、「ねじれ」のように一定の政治的条件のもと、従来不可視だったメカニズムが顕在化し、改革と不整合を来すこともある。また、政治資金問題のようになお対応を要する課題もあり、改革はなお未完である。
世紀の変わり目を挟んだ1990年代から2000年代初頭にかけて、統治機構のみならず人権分野にもわたる、憲法全般に関わった一連の制度改正が行われた。1980年代から1990年代の国内外の憲法を取り巻く環境の変化の大きさを考えれば、日本国憲法施行からほぼ半世紀にあたるこの時期に、憲法を具体化する仕組みの見直しが焦点となり、重要な改革が集中したことは偶然ではないといえるかもしれない。¶001