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本決定は、裁量保釈の許否の判断にあたっては、その一資料として、勾留状の発せられていない起訴事実をも考慮しうることを明らかにしたものである。

被告人は、暴力行為等処罰に関する法律1条の罪(甲事実)により逮捕・勾留のうえ、起訴された。その後、2件の恐喝の罪(乙・丙事実)により追起訴がなされ、上記の罪と同一裁判所で審理が行われていたが、乙・丙各事実については勾留状が発せられていなかった。第1審裁判所が、被告人の保釈を許可する決定をしたところ、検察官からの抗告を受けた原審裁判所は、勾留の理由とされた甲事実は刑訴法89条3号所定の権利保釈の除外事由に該当するとして、保釈許可決定を取り消したうえ、「勾留されていない追起訴事実を全く度外視し勾留事実についてのみ保釈相当の裁量をなすことは軽卒の譏りを免れない」と述べて、裁量保釈も適当とは認められないとし、保釈請求を却下した。これに対し、被告人側から、保釈の当否の判断は勾留事実のみを基準として行われるべきであり、勾留されていない追起訴事実を併せ考慮することは許されないとして特別抗告がなされた。最高裁は次のように判示して、特別抗告を棄却した。

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