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事実の概要
業務として普通乗用自動車を運転中、前方左右を注視せず、進路の安全確認不十分のまま進路変更した過失により自車を被害者運転の原動機付自転車に衝突させ、現場から逃走し、被害者を死亡させたという業務上過失致死、道路交通法違反の事案について、公判前整理手続で主張および証拠の整理が行われ、争点は「被告人が、本件交通事故を引き起こして逃走した犯人であるかどうか」であると確認されるとともに審理計画が策定され、これに従って公判審理が進められたが、目撃者の証人尋問等の結果、事故態様が当初訴因の前提としていたものとは異なることが明らかとなったため、検察官は過失内容を変更する訴因変更請求をした。1審裁判所は、これを許可した上、訴因変更に伴う追加的証拠調べとして、公判前整理手続で一旦撤回された実況見分調書の取調べおよびその真正立証のための作成者の証人尋問(検察官立証)、目撃者の証人尋問(弁護側立証)を実施し、変更後の訴因について有罪とした。被告人が控訴し、本件訴因変更請求は権利濫用に当たり、これを許可した1審の訴訟手続には法令違反があるなどと主張した。¶001